卒業式
今日は私たちのひとり娘の大学の卒業式だった。
朝から雨模様で寒かったけれど、午後には晴れ間もさしてきた。
在学中に夫が完治の望めないガンだとわかった時は、とにかく無事に娘を卒業させなくては・・・と真っ先に考えた。
本人も、そのこともあり、きっと楽しいばかりの大学生活ではなかったと思う。
4年生の後期、最後の学費を払い終えた時は、心底ホッとした。
卒業認定が降り、教職も取れたとわかった時は、涙が出た。
抗がん剤を打ちながらも仕事を続けてくれた夫、そして真面目に大学生活を送った娘自身。
本当にありがとう。
お父さん、娘はエンジの袴がとてもよく似合って、立派だったよ。
私は式には出ず、写真だけ撮って病院に行った。
今日は痛みもだるさも少しだけ落ち着いて、会話もできたので写真を見せると、
夫は泣いていた。
愛情表現の上手くない夫と娘との関係は、さほど良いものではなかったが、
「かわいい・・・よかった・・・」と何度も言っていた。
娘は既に新入社員の研修が始まっていて、なかなか病院にも行けないのだけれど、
土曜日は卒業証書と教職免許を持って行くと言っている。
苦しい、辛い毎日だけど、こんないい1日もある。
どうか夫が1日でも長く生きて、こんな日がまたありますように。
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