3年の間だましだまし持ちこたえてきた肺小細胞がんが、
肝臓、腹膜に転移、前にもあった脳への転移が範囲が広くなっている。
とりあえず、放射線の全脳照射をしましょう、
これからの事はそれから考えましょう、と言われたのが1か月前。
通院でも良いと言われた全脳照射治療だったが、
以前ガンマーナイフ治療の後、てんかん発作を職場で起こしたことがあり、
その恐怖から入院治療をお願いした。
予定は2週間、9回の照射。
初めの1週間は大きな副作用もなく、週末は治療が休みになるため
外泊で家に帰りたいと。
てんかん発作の恐怖のための入院だったのに、外泊を受けてしまったことを、
これほど後悔することになるとは。
帰宅して2時間、食事ができたよ、と声をかけて数秒、一生忘れられないものすごい音。
倒れたのだ、廊下で。
白目をむいたまま、身体は痙攣。2回大きな唸り声。
「このまま死んでしまうのかも」
私も、研修が休みで珍しく家にいた娘(4月から新社会人。このタイミングだ)
も、そう思った。
救急車を呼んでいる間に意識は戻った。
本人は倒れた記憶がないらしい。てんかんとはそんなものか。
救急車に乗るのも、これで何度目だろう。慣れることなんて絶対ない。
外泊だったので、そのまま同じベッドに入院。
こんなことなら、本人がいくら望んだからと外泊をされるのではなかった。
そして、私に告げられた余命。
あれから、もう一度救急車に乗った。
脳の治療を終え、一度戻った夫は、肝臓の耐えられない痛みで、あっという間に再入院、現在に至る・・・
今夫はモルヒネ治療でまともに話もできない。
残された時間、たった一人で看病している私は、もう先が見えない。
誰か助けて、って言えない。